モラハラの関係を振り返ったとき、
多くの人がこう感じます。
「いつの間にか、対等じゃなくなっていた」
「気づいたら、相手の顔色ばかり見ていた」
最初から、
上下関係がはっきりしていたわけではないはずです。
出会ったころは普通だった。
むしろ優しかった。
話も通じていた。
それなのに、
なぜ関係の中で、
片方が上、片方が下のような構図ができてしまうのか。
それは、
モラハラが一気に支配する形ではなく、
少しずつ役割をずらしていく構造を持っているからです。
上下関係は「決められる」のではなく「慣らされる」
モラハラの上下関係は、
ある日突然宣言されるものではありません。
「お前は下だ」
そんな言葉を言われることは、ほとんどありません。
代わりに起きるのは、
ごく小さなズレです。
・こちらの意見が通りにくくなる
・相手の不機嫌が優先される
・話し合いが成り立たなくなる
最初は、
「今日は機嫌が悪かっただけ」
「疲れているのかもしれない」
そう解釈して、やり過ごします。
でも、
同じことが何度も起きるうちに、
こちらの行動が変わっていきます。
「言わない方が楽」
「我慢した方が早い」
この“調整”が積み重なることで、
上下関係は固定されていきます。
話し合いが上下を決める場になる
本来、
話し合いは対等であるはずです。
でも、モラハラの関係では、
話し合いが立場を決める場に変わります。
・説明すると責められる
・気持ちを話すと否定される
・結論が最初から決まっている
結果、
話し合いのたびに、
こちらが謝る形で終わることがあります。
「分かった、私が悪かった」
「もう言わない」
その一言が、
上下関係をさらに強めてしまうことがあります。
謝ること自体が悪いわけではありません。
でも、
謝る役割が一方に固定されると、
関係は対等ではなくなります。
不機嫌は、立場を動かす力を持つ
モラハラの関係でよく使われるのが、
不機嫌です。
怒鳴らなくてもいい。
説明もしなくていい。
黙る。
空気を変える。
距離を取る。
それだけで、
相手の行動を変えられるようになります。
「また不機嫌になるかもしれない」
「波風を立てたくない」
そう思うようになると、
こちらが先に譲るようになります。
不機嫌を出す側が上。
不機嫌を避ける側が下。
この関係が続くことで、
上下の位置が固定されていきます。
正しさが、上下を決めてしまうこともある
モラハラは、
必ずしも感情的な人だけが行うものではありません。
・論理的
・冷静
・正しいことを言っているように見える
こうした特徴を持つ人もいます。
その場合、
上下関係は「正しさ」によって作られます。
「普通はこうする」
「常識的に考えて」
「それはおかしい」
そう言われ続けると、
自分の感覚が信じられなくなっていきます。
間違っているのは自分。
判断できないのは自分。
そう思い込むことで、
自然と相手の方が“上”になります。
我慢が評価される構造
上下関係が固定される大きな理由のひとつは、
我慢が関係を保つ力として評価されることです。
・あなたが折れる
・あなたが合わせる
・あなたが黙る
その結果、
一時的に関係は落ち着きます。
すると、
「やっぱり私が我慢すればいいんだ」
という学習が起きます。
相手が変わる必要はない。
自分が変わればいい。
この考え方が続くと、
上下関係はさらに動かなくなります。
上下関係は「性格」ではなく「役割」
ここで大事なことがあります。
モラハラの上下関係は、
性格の強さ弱さで決まるものではありません。
役割です。
・我慢する役
・空気を読む役
・関係を守る役
その役割を引き受け続けた結果、
立場が固定されてしまう。
これは、
あなたが優しかったから起きたことです。
気づいたときに、すでに抜けにくくなっている理由
上下関係が固定されると、
抜け出すのが難しく感じます。
それは、
立場だけでなく、
考え方まで影響を受けているからです。
・自分が間違っている前提
・相手を怒らせない思考
・関係を壊さない選択
これらが、
無意識の基準になります。
だから、
「おかしい」と思っても、
すぐに行動に移せない。
それは、
弱さではありません。
構造の中で、
そう考えるようになってきただけです。
構造を知ることが、立場を取り戻す第一歩
上下関係をすぐに変える必要はありません。
でも、
「なぜこうなったのか」を知ることは、
とても大切です。
上下関係は、
自然にできたものではない。
少しずつ、
役割と行動の積み重ねで作られた。
そう理解できるだけで、
自分を責める必要がなくなります。
今日は、ここまででいい
このページも、
答えを出すためのものではありません。
関係をどうするか、
決めなくていい。
ただ、
「上下関係は、仕組みだった」
そう知れたなら、それで十分です。
次に整理するとしたら、
なぜ話し合いが成立しなくなるのか。
その構造について、
もう少しだけ見ていきます。
今日は、
ちゃんと進めています。
モラハラが分かりにくい理由については、
こちらの記事で構造の入口から整理しています。



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