距離を取り、
境界線を引き始めた頃。
多くの人が、ある瞬間に戸惑います。
「最近、少し優しくなった気がする」
「前より怒らなくなった」
「話を聞いてくれるようになったかもしれない」
そして、こう思う。
「もしかして、変わったのかな」
この感覚は、とても自然です。
むしろ、そう感じること自体は悪いことではありません。
ただ、ここにはひとつだけ注意してほしいことがあります。
“変化しているように見える”ことと、
“本当に変わった”ことは、まったく別です。
なぜ「変わった」と感じてしまうのか
モラハラの関係では、
緊張状態が長く続きます。
だからこそ、少し状況が緩むと、
その差がとても大きく感じられる。
例えば、
・怒鳴られなかった
・否定されなかった
・普通に会話ができた
本来は「当たり前」のことでも、
それが起きただけで安心してしまう。
これは、あなたが弱いからではありません。
人の心は、緊張が続いたあとほど
小さな安定を“回復”のように感じるものだからです。
一時的な変化は、珍しいことではない
ここで知っておいてほしいのは、
モラハラの関係には、
波があるということです。
・強く当たる時期
・落ち着く時期
・優しくなる時期
これらが繰り返される。
優しい時間があるからこそ、
離れる決断が難しくなる。
もしずっと苦しいだけなら、
人はもっと早く距離を取れます。
迷いが生まれるのは、
優しさが混ざるからです。
本当に変わったかを見極めるポイント
「言葉」ではなく、
継続した行動を見てください。
例えば次のような変化があるかどうか。
・自分の非を認めるようになった
・責任をあなたに押しつけなくなった
・話し合いが対等にできる
・不機嫌で支配しようとしない
・あなたが境界線を引いても尊重する
そして何より大切なのは、
その状態が一時的ではないかを見ること。
数日ではなく、
数週間、数ヶ月。
変化とは、
「続いている状態」のことを指します。
優しさだけでは判断しない
ここはとても重要です。
優しさは、
変化の証拠とは限りません。
なぜなら、優しさは比較的簡単に見せられるからです。
本当に難しいのは、こちらです。
・態度を安定させること
・上下関係を手放すこと
・支配しないこと
つまり、
関係の構造そのものを変えること。
ここが変わっていなければ、
関係の土台は以前のままです。
距離を取り始めたあとに優しくなる理由
距離を取ると、
相手は違和感を覚えます。
「前と違う」
「コントロールできない」
「離れていくかもしれない」
そのときに起きやすいのが、
関係を引き戻す行動です。
・急に優しくなる
・理解を示す
・歩み寄る姿勢を見せる
これは必ずしも悪意ではありません。
ただし、
関係を元に戻すための無意識の反応であることは多い。
だからこそ、
焦って距離を縮める必要はありません。
期待が強いほど、判断は揺れる
人は本来、
関係が良くなることを望みます。
「今度こそ大丈夫かもしれない」
「やっと分かってくれたのかも」
その期待自体は、とても自然です。
でも、期待が強すぎると、
小さな変化を“大きな変化”として受け取ってしまう。
だから判断するときは、
希望ではなく、現実を見る。
それが、自分を守ることにつながります。
判断を急がなくていい
ここで覚えておいてほしいことがあります。
変わったかどうかは、今すぐ判断しなくていい。
距離を保ったまま、
時間をかけて見ればいい。
本当に変わる人は、
距離を責めません。
境界線を尊重します。
そして、
変化を「続ける」ことができます。
最後に
「変わったかもしれない」と感じる瞬間は、
誰にでも訪れます。
その感覚を否定する必要はありません。
ただ、ひとつだけ忘れないでください。
あなたが安心できるかどうかは、
一時的な優しさではなく、
安定した関係の中で決まるということ。
焦らなくていい。
戻らなくていい。
距離を保ったまま、
静かに見ていけばいいのです。
それだけで、
自分を見失わずにいられます。
「変わったかもしれない」と感じたときほど、
もう一つ知っておいてほしいことがあります。
モラハラは、
個人の性格だけで起きているわけではありません。
なぜ同じことが繰り返されやすいのか。
その構造については、次の記事で整理しています。
モラハラが繰り返される理由 ──それは性格ではなく「構造」の問題 | モラ晴らし屋


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