「昔の私、どこいった?」
昔はもっと笑っていた気がする。
もっと自分の意見を言えていた気がする。
好きな服を選んで、好きな場所に行って、好きなことを楽しめていた。
でも気づいた頃には、
「自分がどうしたいのか分からない」
そんな状態になっていた。
これは、モラハラ関係の中で多くの人に起きる変化です。
しかも怖いのは、最初から急激に壊れるわけではないこと。
少しずつ、本当に少しずつ、静かに自分が削られていきます。
だから、気づきにくい。
でもある日ふと、
「あれ?昔の私、どこいったんだろう」
そう感じる瞬間があります。
モラハラ関係がなぜ繰り返されるのかを知りたい方は、こちらの記事も参考になります。
▶ もがけばもがくほど抜けられない|モラハラ地獄が繰り返される理由
少しずつ「自分」が後回しになっていく
モラハラ関係の中では、少しずつ優先順位が変わっていきます。
本来なら、自分の気持ちや体調や感覚も大切にされるはずです。
でも、いつの間にか、
- 相手の機嫌
- 空気
- 怒らせないこと
これらが最優先になっていきます。
すると自然と、自分のことを後回しにする癖がついていきます。
例えば、
- 美容院に行かなくなる
- 写真を撮らなくなる
- 服を選ばなくなる
- 笑わなくなる
- 友達と会わなくなる
こうした変化は、一つひとつは小さなことに見えるかもしれません。
でも実は、これ全部、
「自分を大切にする感覚」が薄れていっているサイン
でもあります。
自分を後回しにしてしまう心理については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
▶ 「いい子でいよう」としてしまう子の心理|なぜ自分を後回しにしてしまうのか
おしゃれをしなくなる理由
昔は、新しい服を見るのが好きだった。
髪型を変えるだけで気分が上がった。
鏡を見ながら、「今日はちょっといい感じかも」と思える日もあった。
でも、気づけば、何を着てもどうでもよくなっていく。
それは、女を捨てたわけでも、怠けているわけでもありません。
心が、そこにエネルギーを使えなくなっているのです。
モラハラ関係の中では、常に緊張状態が続きます。
相手の機嫌を読んで、怒らせないようにして、空気を壊さないように気を張る。
それだけで、ものすごくエネルギーを使っています。
だから、「自分を楽しませる」ための余裕がなくなっていく。
そして少しずつ、
「どうせ私なんか」
という感覚が強くなっていきます。
写真を撮らなくなる
昔は普通に撮っていた写真。
子どもと。友達と。自分自身も。
でも気づけば、写真に写るのが嫌になっていく。
理由ははっきり分からない。
でも、なんとなく嫌。
なんとなく自分を見たくない。
これは、自己肯定感が静かに削られている時によく起きます。
モラハラ関係では、少しずつ自信を失っていきます。
否定される。バカにされる。責められる。
あるいは、露骨じゃなくても、ため息や空気で否定される。
そういう積み重ねによって、
「自分には価値がない」
という感覚が染み込んでいきます。
すると、自分を残したいと思えなくなるのです。
服を選ばなくなる
何を着ても同じ。
どうせ誰も見ていない。
そんなふうに感じるようになる。
でも本当は、「見ていない」のではなく、
自分自身が、自分を見る余裕を失っている状態
です。
人は安心している時、自分を表現できます。
好きな色を選んだり、好きな服を着たり、「これ好きかも」と思えたりする。
でもモラハラ関係の中では、安心より緊張が勝っていきます。
その結果、自分を表現する感覚そのものが薄れていくのです。
笑わなくなる
これも大きなサインです。
昔は普通に笑っていたのに、気づけば笑うことが減っている。
笑っていても、心から笑えていない。
それは、心がずっと警戒しているからです。
モラハラ関係では、
- 次は何を言われるんだろう
- また空気が悪くなるかもしれない
- 自分が悪いことにされるかもしれない
という緊張が続きます。
すると、脳も体も休まりません。
安心できない状態が続くと、人は自然と感情を抑えるようになります。
その結果、笑うことも減っていくのです。
友達と会わなくなる
モラハラ関係の中にいる人は、少しずつ外とのつながりが減っていくことがあります。
最初は、
「忙しいから」
と思っています。
でも本当は、
- 説明するのがしんどい
- 今の自分を見られたくない
- 気を使う余裕がない
- 誰かに心配されるのがつらい
そんな状態になっていることも多いです。
さらに、相手が嫌な顔をしたり、機嫌が悪くなったりすることで、自然と会わなくなるケースもあります。
すると、世界がどんどん狭くなっていきます。
外の感覚が減ることで、
「これって普通じゃないかも」
という感覚にも気づきにくくなります。
子どもの頃の関係が、大人になってからの人間関係に影響している場合もあります。
▶ 子どもに優劣をつける親の特徴|それはしつけではなく支配です
「自分が悪い」と思い始める
モラハラ関係で一番怖いのは、少しずつ考え方が変わっていくことです。
最初は、
「なんでそんな言い方をするんだろう」
と思っていた。
でも何度も否定されたり、責められたりしているうちに、
「自分が悪いのかもしれない」
と思うようになる。
これは、弱いからではありません。
人は、繰り返し否定され続けると、少しずつ自信を失っていくからです。
しかもモラハラは、ずっと怒鳴っているわけではありません。
優しい時もある。
普通の時もある。
だから余計に混乱します。
「やっぱり私が悪かったのかな」
そう思ってしまう。
でも、本当に大事なのは、
あなたがどう感じていたか
です。
しんどかった。
怖かった。
苦しかった。
その感覚は、ちゃんと意味があります。
「これが普通」になっていく怖さ
最初は違和感だったことも、毎日続くと普通になっていきます。
- 顔色をうかがう
- 怒らせないようにする
- 自分を後回しにする
- 言いたいことを飲み込む
- 相手に合わせる
そういう状態が日常になる。
すると、
「これぐらい普通かもしれない」
と思うようになります。
これが、モラハラ関係の怖いところです。
感覚が麻痺していく。
だから、離れるという選択肢自体が見えにくくなります。
話し合おうとするほど苦しくなる理由については、こちらで詳しくまとめています。
消えたわけじゃない
でも、ここで一番伝えたいことがあります。
それは、
「昔のあなた」は消えたわけじゃない
ということです。
ただ、ずっと後回しにされ続けていただけ。
ずっと我慢を優先してきただけ。
ずっと相手の機嫌を優先してきただけ。
だから、少しずつ戻していけばいい。
いきなり変わらなくていい。
まずは、
「これ、本当は嫌かも」
その小さな感覚を無視しないこと。
好きだったものを思い出すこと。
少し休むこと。
自分のために小さなお金や時間を使ってみること。
そういう小さな積み重ねが、少しずつ「自分」を戻していきます。
まとめ
モラハラ関係の中では、少しずつ自分が後回しになっていきます。
おしゃれをしなくなる。
笑わなくなる。
写真を撮らなくなる。
友達と会わなくなる。
それは、あなたがダメになったからではありません。
心が、生き延びることを優先していたからです。
だからこそ、今の自分を責めないでください。
昔のあなたは、ちゃんとまだ残っています。
ただ、長い間、置き去りにされていただけです。
その感覚を、少しずつ取り戻していけば大丈夫。
あなたの違和感は、ちゃんと意味があります。



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