ジャスティフィケーションとは?
「これってモラハラなんかな?」
そう思っていたやり取りにも、名前があります。
ジャスティフィケーション(Justification)とは、自分の問題行動を「仕方なかった」「理由があった」と正当化し、責任を軽く見せようとする心理的な手法です。
モラハラでは、自分の言動を反省する代わりに、「だから仕方なかった」と理由を並べ、責任を曖昧にする場面でよく見られます。
一見すると「説明しているだけ」に見えるため、気付きにくい心理操作の一つです。
理由を話すことと、正当化することは違います。
人は誰でも失敗します。
イライラしてしまう日もありますし、余裕がなくなる日もあります。
だからこそ、理由を説明すること自体は悪いことではありません。
例えば、
- 「仕事で嫌なことがあった。」
- 「寝不足で余裕がなかった。」
- 「体調が悪かった。」
こうした説明は、自分の状態を伝えているだけです。
しかし、その後に
- 「だから仕方なかった。」
- 「お前にも原因がある。」
- 「誰でもそうする。」
- 「そんなに怒ることじゃない。」
と続き、自分の行動そのものを正当化し始めたら話は変わります。
問題は「理由があったこと」ではなく、その理由を使って責任まで軽くしようとすることです。
これがジャスティフィケーションです。
モラハラでよくある例
例えば、こんな会話はありませんか?
「そんな言い方されて傷ついた。」
「仕事でイライラしてたから。」
ここで終わるなら、まだ説明かもしれません。
ですが、多くの場合は続きます。
「仕事でイライラしてたから。」
「お前も空気読まへんかったやろ。」
「誰でもああなる。」
「そんなことで傷つく方がおかしい。」
気付けば、「傷つけたこと」ではなく、「傷つけても仕方なかった理由」の話になっています。
本来なら謝罪すべき場面なのに、話題はいつの間にか自己弁護へと変わっているのです。
だからサムネイルの言葉どおり、「謝る前に自己弁護。」という状態になります。
なぜ自己弁護ばかりするのでしょうか?
ジャスティフィケーションを繰り返す人は、自分が悪かったと認めることを極端に嫌う傾向があります。
謝ることは、自分の非を認めることです。
しかし、それが強いストレスになる人もいます。
すると、「悪かった」と認める代わりに、自分を守る理由を探し始めます。
- 仕事が忙しかった。
- 疲れていた。
- 相手にも原因がある。
- 誤解された。
- そんなつもりじゃなかった。
もちろん、本当に事情があった場合もあるでしょう。
ですが、その事情を説明することと、責任をなくすことは別問題です。
理由があることと、相手を傷つけていいことは同じではありません。
にもかかわらず、モラハラではこの二つを混ぜてしまうことが少なくありません。
その結果、被害を受けた側は、
「私も悪かったんかな……。」
と、自分を責め始めてしまうのです。
次回は、ジャスティフィケーションが繰り返されることで被害者にどんな影響が起こるのか、そして似ているモラハラ用語との違いについて解説します。
ジャスティフィケーションを繰り返されると、なぜ苦しくなるのか?
ジャスティフィケーションが続くと、被害を受けた側は少しずつ混乱していきます。
本来であれば、傷つけた側が責任を受け止め、謝罪し、改善するのが健全な関係です。
しかし、ジャスティフィケーションでは、話の中心が「傷つけたこと」ではなく、「傷つけても仕方なかった理由」にすり替わります。
すると、いつの間にか被害を受けた側まで、
- 「私の言い方が悪かったのかな。」
- 「私も責めすぎたかな。」
- 「確かに相手も疲れていたし…。」
と、自分の気持ちより相手の事情を優先するようになってしまいます。
もちろん、相手の事情を理解しようとすること自体は悪いことではありません。
問題なのは、その理解が「傷つけられた事実」まで消してしまうことです。
理由は理解できても、傷ついた事実はなくなりません。
責任もなくなりません。
そこを混同させるのが、ジャスティフィケーションの怖さです。
ジャスティフィケーションと似ているモラハラ用語との違い
モラハラには、よく似た心理操作がたくさんあります。
違いを知っておくと、相手が何をしているのか整理しやすくなります。
ミニマイゼーションとの違い
モラハラ用語|ミニマイゼーションとは?|「大したことない」で終わらせてくる心理は、出来事そのものを小さく見せる心理操作です。
「そんな大したことじゃない。」
「気にしすぎ。」
このように、問題自体を小さく扱います。
一方、ジャスティフィケーションは、問題を認めた上で「でも仕方なかった。」と自分を正当化する点が違います。
ディフレクションとの違い
モラハラ用語|ディフレクションとは?|責任のかかる話から逃げる心理では、本題そのものを別の話へ逸らします。
例えば、
「その言い方が嫌だった。」
「お前も昨日○○してたやん。」
これは責任から逃げるために話題を変えています。
一方、ジャスティフィケーションでは話題は変えません。
同じ話を続けながら、「だから仕方なかった」と自分を守ります。
ガスライティングとの違い
ガスライティングは、出来事そのものを否定し、相手の認識を揺さぶる心理操作です。
「そんなこと言ってない。」
「考えすぎや。」
「勘違いやろ。」
一方、ジャスティフィケーションは、出来事は認めながらも、理由を並べて責任を軽くしようとします。
ジャスティフィケーションをされたときの対処法
相手の事情を聞くことと、責任を免除することは別です。
その線引きを意識することが大切です。
例えば、
「仕事で大変やったのは分かった。」
「でも、その言い方で傷ついたことは別の話やで。」
このように、「理由」と「責任」を切り分けて考えることで、相手の正当化に巻き込まれにくくなります。
また、何度伝えても毎回自己弁護ばかりで謝罪や改善が見られない場合は、その関係性自体を見直すことも必要です。
ジャスティフィケーションは、一度だけなら誰でもしてしまうことがあります。
しかし、それが繰り返されると、「謝らなくても理由を言えば済む」という関係になってしまいます。
その積み重ねが、モラハラへと発展していくことも少なくありません。
まとめ
ジャスティフィケーションとは、自分の問題行動を「仕方なかった」「理由があった」と正当化し、責任を軽く見せようとする心理的な手法です。
理由を説明することと、責任を果たすことは別の話です。
もし相手が毎回、謝るより先に自己弁護を始めるのであれば、一度立ち止まって考えてみてください。
その説明は、本当に「理由の説明」でしょうか。
それとも、「責任から逃れるための正当化」でしょうか。
その違いに気付くことが、自分を守る第一歩になります。
モラハラには、他にもさまざまな心理操作があります。



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