境界線を引き始めると、人間関係の見え方が少しずつ変わってきます。
今までは、
「怒らせないようにしよう」
「嫌われないようにしよう」
「この人は危ないかな」
と、相手から傷つけられないためのことばかり考えていたかもしれません。
でも、境界線を引く練習を続けていると、もう一つの視点が生まれてきます。
「私は、誰といると安心できるんだろう?」
これは、とても大きな変化です。
人間関係は、「嫌な人を避ける」だけで作るものではありません。
自分が安心できる人を、自分で選んでいい。
今回は、境界線を引いたその先で少しずつ見えてくる、「安心できる人」について考えていきます。
- 境界線を引く前は「嫌われないこと」が基準になりやすい
- 境界線を引くと「私はどう感じる?」が戻ってくる
- 安心できる人は「何でも言うことを聞いてくれる人」ではない
- 安心できる人には「NO」が言える
- 安心できる人には「説明しすぎなくていい」
- 「一緒にいて楽しい」だけでは分からないこともある
- 前編まとめ|「嫌われない人」ではなく「安心できる人」を見る
- 安心できる人は、あなたの境界線を「罰」に使わない
- 安心できる人は「間違えない人」ではない
- 自分も相手のNOを尊重する
- 人間関係には「ちょうどいい距離」がそれぞれある
- 「安心できる人が分からない」ときは、小さな場面を見る
- 「優しい人」より「安心が続く人」を見る
- 安心できる人を選ぶことに、罪悪感はいらない
- 境界線を引き直しながら、関係も育てていけばいい
- まとめ|安心できる人を、自分で選んでいい
- 関連記事|境界線と人間関係について読みたい方へ
境界線を引く前は「嫌われないこと」が基準になりやすい
相手の顔色を長くうかがっていると、人付き合いの基準が少しずつ変わってしまうことがあります。
「私はこの人が好き?」
「一緒にいて楽?」
ではなく、
「この人に嫌われてない?」
「怒ってない?」
「ちゃんと好かれてる?」
ということが気になる。
つまり、自分が相手をどう感じているかより、相手が自分をどう評価しているかが中心になってしまいます。
そうなると、「この人といると私は安心できるのか」という大切な感覚が後回しになります。
境界線を引くと「私はどう感じる?」が戻ってくる
境界線を引くためには、自分の感覚を確認する必要があります。
「これは嫌?」
「今日はできる?」
「ここまでなら大丈夫?」
「私は本当はどうしたい?」
こうした問いを何度も自分に向けることになります。
すると、人付き合いでも同じことが起き始めます。
「この人と話したあとは、いつも疲れてるな」
「この人には断っても怖くないな」
「この人の前では、変に言葉を選ばなくても大丈夫だな」
そんな違いが見えてきます。
境界線を引くことは、相手との距離だけでなく、自分の感覚を取り戻す練習でもあります。
境界線を引き始めてから見えてくる自分自身の変化については、境界線を引き始めて気づいたこと|我慢していた頃の自分との違いでも詳しく書いています。
安心できる人は「何でも言うことを聞いてくれる人」ではない
安心できる人というと、
いつも優しい。
何でも賛成してくれる。
絶対に怒らない。
そんな人を想像するかもしれません。
でも、安心できる関係は「何でも思い通りになる関係」とは違います。
意見が違うこともあります。
相手からNOを言われることもあります。
こちらの希望が通らないこともあります。
それでも、
意見が違うだけで怖くならない。
NOを言われても人格を否定されたように感じない。
話し合っても、どちらかが小さくならなくていい。
そういう関係があります。
安心とは、「いつもYESをもらえること」ではないのです。
安心できる人には「NO」が言える
一つの分かりやすい目安があります。
その人に、NOを言えるでしょうか。
「今日は無理」
「それはできない」
「今回はやめとく」
そう伝えたあと、何時間も相手の機嫌を心配しなくていい。
長い説明をしなくてもいい。
「なんで?」
「どうして?」
と追い詰められない。
断った翌日も普通に話せる。
こういう小さな経験は、安心できる関係を知る大きな手がかりになります。
境界線の具体的な伝え方については、実践!境界線の伝え方|「嫌」「できない」を相手にどう伝える?も参考にしてください。
安心できる人には「説明しすぎなくていい」
安心できない関係では、説明が長くなりがちです。
「今日は行けない。なぜなら……」
「こういう事情があって……」
「本当は行きたいんだけど……」
相手を納得させるために、たくさんの理由を並べる。
でも、安心できる人との関係では、
「今日は無理なんだ」
「そっか。また今度ね」
で終われることがあります。
自分のNOを正当化するために、裁判みたいな説明大会をしなくていい。
これも、安心できる関係の特徴の一つです。
「一緒にいて楽しい」だけでは分からないこともある
もちろん、一緒にいて楽しいことも大切です。
でも、人間関係を見るときは「楽しい時」だけでは分からないことがあります。
あなたが断った時。
意見が違った時。
相手の思い通りにならなかった時。
疲れていて相手に合わせられなかった時。
そんな時に、相手がどう接するか。
境界線は、その人の「思い通りにならなかった時の態度」を見る機会にもなります。
優しさと冷たさが繰り返される関係では、「優しい時だけ」で判断しないことも大切です。
前編まとめ|「嫌われない人」ではなく「安心できる人」を見る
人付き合いをするとき、ずっと、
「どうしたら嫌われない?」
を考えてきたかもしれません。
でも、境界線を引き始めると、別の問いを持てるようになります。
「私は、この人といると安心できる?」
NOを言える。
意見が違っても怖くない。
説明しすぎなくていい。
機嫌を取らなくても関係が続く。
そういう人がいることに、少しずつ気づいていきます。
後編では、「安心できる人をどう見分けるか」だけでなく、安心できる関係を自分自身もどう作っていくのかまで考えていきます。
安心できる人は、あなたの境界線を「罰」に使わない
安心できる人とそうでない人の違いが見えやすい場面があります。
あなたがNOを言った時です。
もちろん、相手が残念に思うことはあります。
「一緒に行きたかったな」
「手伝ってほしかったな」
そう感じるのは自然なことです。
でも、その残念な気持ちと、あなたを罰することは別です。
無視する。
何日も不機嫌になる。
罪悪感を持たせる。
「お前は冷たい」と人格を責める。
NOを撤回するまで圧をかける。
安心できる関係では、境界線を伝えたことへの罰を受け続ける必要がありません。
境界線を伝えた時に逆ギレや無視、不機嫌が起こる場合については、境界線を伝えると怒る人|逆ギレ・無視・不機嫌にどう対応する?でも詳しく解説しています。
安心できる人は「間違えない人」ではない
ここは大切です。
安心できる人だって、境界線を越えることはあります。
距離感を間違える。
余計なことを聞く。
こちらが嫌だと思うことを、知らずにしてしまう。
人と人なので、そういうことはあります。
大切なのは、
伝えたあとにどうするか。
「それ嫌だった」
と伝えた時、
「あ、ごめん」
と戻れる。
次から少し気をつける。
また間違えても、もう一度調整できる。
安心できる人とは、最初から完璧にあなたを理解している人ではありません。
お互いに境界線を調整できる人です。
自分も相手のNOを尊重する
そして、境界線は一方通行ではありません。
自分がNOを言っていいように、相手にもNOを言う権利があります。
こちらが会いたくても、相手が今日は休みたいこともある。
こちらが話したくても、相手が今は話せないこともある。
こちらが助けてほしくても、相手ができないこともあります。
そこで、
「なんで?」
「私のこと嫌いなん?」
と相手の境界線を押し返すのではなく、
「分かった」
と受け止める。
自分の境界線も大切。相手の境界線も大切。
その両方があるから、安心できる関係になっていきます。
人間関係には「ちょうどいい距離」がそれぞれある
安心できる人だからといって、全員と親友になる必要はありません。
毎日話したい人。
月に一度くらい会うと心地いい人。
仕事だけで付き合う人。
家族だけど少し距離が必要な人。
人によって、ちょうどいい距離は違います。
「良い人だから近くに置かなければならない」という決まりもありません。
自分が心地よくいられる場所を探していいのです。
境界線を引くことで人間関係の見え方がどう変わるのかについては、境界線を引くと人間関係はどう変わる?|離れる人・近くなる人が見えてくる理由もあわせて読んでみてください。
「安心できる人が分からない」ときは、小さな場面を見る
長く緊張する人間関係にいた場合、
「安心できる人って、そもそもどんな人?」
と分からなくなることもあります。
そんな時は、大きな答えを出さなくて構いません。
小さな場面を見てみます。
断ったあと、怖くない。
返信が遅れても責められない。
意見が違っても話が終わる。
失敗しても人格まで否定されない。
黙っていても、機嫌を取らなくていい。
会ったあと、どっと疲れていない。
そんな小さな「大丈夫」を集めていく。
安心は、派手な優しさより、小さな安全の積み重ねの中に見つかることがあります。
「優しい人」より「安心が続く人」を見る
ものすごく優しい日がある。
プレゼントをくれる。
強い愛情表現をする。
それ自体が悪いわけではありません。
でも、人を見る時は、その瞬間だけではなく関係全体を見ることも大切です。
優しい。
でも翌日は怖い。
また優しい。
でも思い通りにならないと冷たくなる。
そういう関係では、安心することが難しくなります。
「どれだけ強く愛されているように感じるか」だけでなく、「安心が続いているか」も見てみる。
これは、人付き合いを選ぶ大切な基準になります。
安心できる人を選ぶことに、罪悪感はいらない
人を選ぶという言葉に、冷たい印象を持つ人もいるかもしれません。
「人を選り好みしていいの?」
「誰とでも仲良くしないといけないんじゃない?」
でも、すべての人と同じ距離で付き合うことはできません。
時間にも、気力にも限りがあります。
誰と近く付き合うか。
誰とは少し距離を取るか。
それを決めることは、人を見下すこととは違います。
自分の時間と心を、どこに使うかを選ぶことです。
境界線を引き直しながら、関係も育てていけばいい
一度決めた距離が、ずっと同じである必要もありません。
安心できるようになったら、少し近づいてもいい。
しんどくなったら、少し離れてもいい。
「ここまでは大丈夫」
と思っていたけれど、やっぱり無理だった。
それなら、また引き直せばいい。
境界線は、人間関係を固定するための線ではありません。
自分と相手が無理なく関われる場所を探し続けるための線です。
何度でも境界線を引き直していい理由については、境界線は何度でも引き直していい|踏み込まれても「伝え続ける」ことが大切な理由で詳しく解説しています。
まとめ|安心できる人を、自分で選んでいい
境界線を引き始めると、少しずつ人の見え方が変わります。
NOを尊重してくれる人。
意見が違っても怖くない人。
説明しすぎなくても大丈夫な人。
機嫌を取らなくても関係が続く人。
そして、間違えて境界線を越えても、伝えれば戻ってくれる人。
そんな人がいることに気づき始めます。
人間関係は、
「誰なら私を嫌わない?」
だけで選ばなくていい。
「私は、誰といると安心できる?」
という基準を持ってもいいのです。
危険な人から離れることだけが、境界線ではありません。
安心できる人に、安心して近づいていく。
それもまた、境界線を持つことでできるようになることの一つです。
安心できる人を、選んでいい。
そして、その人たちとの間にも、お互いの境界線を大切にできる関係を少しずつ育てていけばいいのです。



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