普通に話をしたかっただけ。
責めたつもりもない。
喧嘩をしたかったわけでもない。
それなのに突然、
「は?喧嘩売っとんか?」
と言われる。
すると、さっきまで話そうとしていた内容よりも、
「そんなつもりじゃない」
「普通に言っただけ」
「なんでそんなふうに受け取るの?」
と、自分の“言い方”を説明する時間が始まってしまうことがあります。
そして気づけば――
最初に何を話したかったのかすら、どこかへ消えている。
こんなとき、どう返せばいいのでしょうか。
今回は、モラハラ的な会話に巻き込まれたときの対応方法を、「対応分岐図」として考えてみます。
「は?喧嘩売っとんか?」と言われたら、あなたならどう返す?
たとえば、子どもの予定について確認したかったとします。
妻:
「今度の子どもの予定なんやけど、そろそろ決めたいんやけど」
夫:
「は?何その言い方。喧嘩売っとんか?」
ここで、返し方はいくつかあります。
A:「喧嘩なんか売ってないやん!」
B:「ごめん、そんなつもりじゃなかった」
C:「喧嘩したいんじゃなくて、子どもの予定について話したい」
では、それぞれのルートを見ていきます。
Aルート|「喧嘩なんか売ってない」と説明する
あなた:
「喧嘩なんか売ってないやん!」
↓
相手:
「その言い方が喧嘩売っとる言うとんねん」
↓
あなた:
「だから普通に言っただけやん」
↓
相手:
「普通ちゃうやろ」
↓
あなた:
「じゃあ、どこが?」
↓
相手:
「その言い方やって言うとんねん」
こうして、
「喧嘩を売ったつもりはない」ことを証明する会話
が延々と続いてしまうことがあります。
このルートで起きやすいこと
本来の話題は、
「子どもの予定をどうするか」
でした。
ところが、気づけば話題は、
「あなたの言い方」
「あなたの態度」
「あなたが喧嘩を売ったかどうか」
に変わっています。
こうした流れでは、説明すればするほど、本題から離れていくことがあります。
これは、モラハラ用語|トーンポリシングとは?|「その言い方」が論点になる理由や、モラハラ用語|ディフレクションとは?|責任のかかる話から逃げる心理にもつながる会話パターンです。
Bルート|とりあえず謝る
あなた:
「ごめん、そんなつもりじゃなかった」
相手の怒りは、いったん収まるかもしれません。
でも、ここで一つ確認したいことがあります。
最初に話したかったことは、どうなったでしょうか。
本当は、
「子どもの予定を決めたい」
という話だったはずです。
それなのに、
話したいことがある
↓
相手が怒る
↓
自分が謝る
↓
そのまま話が終わる
という流れになってしまうと、
「怒られると、本題を引っ込める」
というパターンができてしまうことがあります。
謝ること自体が悪いわけではない
もちろん、自分の言い方が本当にきつかったと思うなら、謝っていいんです。
大切なのは、
謝ることと、本題をなくすことは別
ということ。
たとえば、
「言い方がきつかったならごめん。でも、子どもの予定については決めたい」
と、本題を残すこともできます。
Cルート|本題に戻す
あなた:
「喧嘩したいんじゃなくて、子どもの予定について話したい」
ここで相手が、
「ああ、予定の話な」
と戻ってくれるなら、そのまま話し合えばいい。
問題はありません。
でも、もし、
「だから、その言い方やって言うとんねん!」
と続いたらどうでしょうか。
その場合は、もう一度だけ本題を確認します。
「言い方については後で話せる。今は子どもの予定を決めたい」
それでも、
「お前はいっつもそうや」
「自分が正しいと思っとんやろ」
「しつこいねん」
「もうええわ」
と続くなら、
そこで会話から降りるという選択肢もあります。
たとえば、
「今はこの話ができそうにないから、いったん終わるね」
と区切る。
ここで大切なのは、相手を言い負かすことではありません。
本題を守ろうとして、それでも話し合えないなら、その会話を続けない。
それも一つの境界線です。
境界線については、境界線を引こう。|合わない人から、あなたを守る「心の線」でも詳しく解説しています。
「正しい返し方」を覚える記事ではありません
この分岐図の目的は、
相手を言い負かすことではありません。
「この言葉を言えば、モラハラする人がおとなしくなる」
という魔法のフレーズを紹介する記事でもありません。
大切なのは、
「私は今、どのルートに入っている?」
と気づくことです。
説明を続けている?
謝り続けている?
本題が消えている?
相手の機嫌を直すことが目的になっている?
もしそうなっているなら、
「この会話、もう本題から外れているな」
と気づくだけでも、対応は変わってきます。
説明すればするほど抜けられなくなることもある
「私はそんなつもりじゃない」
「ちゃんと説明したら分かってくれる」
そう思って、何度も何度も説明してしまうことがあります。
でも、説明するほど、さらに説明を求められる会話もあります。
これは、モラハラ用語|JADEとは?|説明・反論・弁明を続けるほど抜けられなくなる理由で扱っている状態に近いものです。
説明することそのものが悪いわけではありません。
ただ、
説明しても本題に戻れないなら、説明を増やす以外の選択肢もある。
そのことを覚えておいてください。
「喧嘩売っとんか?」と言われただけでモラハラとは限らない
ここは大切なので、はっきり書いておきます。
「は?喧嘩売っとんか?」と一度言われただけで、その人をモラハラだと判断することはできません。
こちらの言い方が本当に強かったこともあるでしょう。
お互いにイライラしていて、売り言葉に買い言葉になってしまうこともあります。
見るべきなのは、一言だけではありません。
そのあと、話し合いができるか。
こちらが本題に戻そうとしたときに、戻れるのか。
「そういうつもりじゃなかった」と伝えたあと、会話を立て直せるのか。
それとも、
毎回説明させられる。
毎回謝罪させられる。
毎回こちらが悪かったという結論になる。
そして、最初に解決したかった問題だけが残る。
もしこの流れが繰り返されているなら、
一つ一つの言葉より、会話全体の構造を見ること
が大切です。
対応分岐図まとめ
「は?喧嘩売っとんか?」
↓
A:否定して説明する
「売ってないやん」
↓
説明が続く
↓
本題が消える
↓
説明ループに注意
B:とりあえず謝る
「ごめん」
↓
相手の機嫌は落ち着くかもしれない
↓
本題まで消えていないか確認
↓
謝罪と本題は分ける
C:本題に戻す
「喧嘩したいんじゃなくて、○○について話したい」
↓
本題に戻れる
→話し合いを続ける
本題に戻れない
↓
もう一度だけ確認
↓
それでも威圧・責め・論点ずらしが続く
↓
「今は話せないから終わるね」
↓
会話から降りる
最後に|本題を守れない会話からは、降りてもいい
「は?喧嘩売っとんか?」
そう言われると、多くの人は反射的に、
「そんなつもりじゃない」
と説明したくなります。
でも、あなたが本当に話したかったのは、
自分が喧嘩を売っていないことの証明でしょうか。
それとも、本来の問題について話したかったのでしょうか。
会話がずれていったとき、
何度でも説明し続ける必要はありません。
一度、本題に戻してみる。
それでも戻れないなら、
今は話さない。
それも立派な対応方法です。
境界線は、相手をコントロールするためのものではありません。
自分が、どこまでこの会話に参加するかを決めるものです。
「何度言っても話が戻らない」状態が続いているなら、何度言っても無駄な人|「伝わっていない」のではなく、伝わっているのに変わらない理由や、「何度言ってもやめない」その次は?|境界線を“伝える”から“行動する”へもあわせて読んでみてください。


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