普通に話したいだけなのに、なぜか毎回疲れ切る
「ちょっと相談したいだけやった。」
「自分の気持ちを聞いてほしかっただけやった。」
「普通に話し合いたかっただけやった。」
それなのに、気付けばまた言い合いになっている。
話し終わる頃には、どっと疲れている。
何も解決していない。
むしろ、最初より苦しくなっている。
そんな経験はありませんか。
多くの人は、それを「夫婦喧嘩」や「コミュニケーション不足」だと思っています。
でも、本当にそうでしょうか。
もし毎回同じような流れになり、毎回同じように疲れ切り、毎回「もういいわ」と話を終わらせているなら、それは単なる喧嘩ではないかもしれません。
話し合いが、消耗戦になっている可能性があります。
喧嘩と消耗戦は違います
喧嘩は、お互いに感情的になることがあります。
でも、多くの場合は目的があります。
- 誤解を解きたい
- 気持ちを伝えたい
- 仲直りしたい
- より良い関係になりたい
だから喧嘩をしても、最後には少しずつ落ち着いていきます。
「さっきは言い過ぎた。」
「ごめん。」
そんな言葉が出てくることもあります。
一方、消耗戦は違います。
目的は問題を解決することではありません。
相手を疲れさせること。
考える力を奪うこと。
「もういい。」と言わせること。
だから終わりません。
本題が終わっても、新しい話が始まります。
説明しても、また質問。
答えても、また責められる。
話し合いではなく、体力勝負になっていくのです。
本題は、いつの間にか消えていく
例えば、あなたがこう伝えたとします。
「昨日のあの言い方、傷ついた。」
本来なら、この話し合いのテーマは「昨日の言い方」です。
でも、消耗戦ではここから少しずつ本題が消えていきます。
「そんな言い方してない。」
「覚えてない。」
「勘違いちゃう?」
まずは出来事そのものを否定されます。
さらに、
「その言い方、きついわ。」
「そんな態度やったら話したくない。」
今度はあなたの話し方が問題になります。
「何時の話?」
「どの言葉?」
「他には?」
質問は増え続けます。
一生懸命説明すると、その説明が次の責める材料になります。
そのうち、
「お前もこの前同じことしてたやん。」
と言われ、本題は完全に別の話へ。
そして最後には、
「俺の方が傷ついてる。」
「全部お前がそうさせた。」
という流れになることもあります。
ここまで読むと、「そんな全部が一度に起こるの?」と思うかもしれません。
でも、モラハラでは珍しいことではありません。
これらは別々の心理操作ではなく、一つの話し合いの中で何重にも重なることがあります。
だから、こんな気持ちになります
「私の伝え方が悪かったんかな。」
「もっと落ち着いて話せばよかったかな。」
「説明が足りなかったかな。」
そう思って、次はもっと丁寧に話そうとします。
でも結果は同じ。
また本題が消える。
また質問攻め。
また言い方を責められる。
また相手の話になる。
気付けば一時間。
二時間。
何も解決していません。
ただ疲れただけ。
そして最後には、
「……もういいわ。」
「話し合いにならへん。」
そう言って会話を終わらせる人が少なくありません。
でも、それはあなたが納得したからではありません。
負けたからでもありません。
話し合いを諦めさせられただけなのです。
この瞬間、相手の目的は達成されています。
問題は解決していません。
でも、あなたにはもう話す気力が残っていない。
だから同じことが、また繰り返されます。
こうして話し合いは少しずつ「会話」ではなく、「消耗戦」へ変わっていくのです。
「話し合いができない人」なのではありません
ここまで読んで、
「じゃあ、私たちは話し合いが下手なんかな。」
そう思った人もいるかもしれません。
でも、本当にそうでしょうか。
職場では普通に話し合える。
友達とは意見が違っても落ち着いて話せる。
子どもの先生とも冷静に話せる。
それなのに、一人の相手とだけ話し合いにならない。
もしそうなら、あなたが話し合いのできない人なのではありません。
話し合いが成立しない状況に置かれている可能性があります。
話し合いは、一人ではできません。
お互いに「問題を解決しよう」という気持ちがあって、初めて成立するものです。
どちらか一方が「勝つこと」「支配すること」「責任を逃れること」を目的にしていたら、話し合いは成立しません。
なぜ、こんなに疲れるのでしょうか
消耗戦が苦しいのは、怒鳴られるからだけではありません。
何度も希望を持たされるからです。
「今度こそ分かってもらえるかもしれない。」
「今度は落ち着いて話そう。」
「ちゃんと説明したら伝わるはず。」
その期待があるから、何度も話し合いに向かいます。
でも現実には、同じことの繰り返し。
説明すると質問が増える。
質問に答えると論点が変わる。
話を戻すと、今度はあなたの態度が問題になる。
気付けば、最初の話は消えています。
だから疲れるのです。
体力ではありません。
希望を削られ続けるから、心が疲れてしまうのです。
「もっと説明すれば」は解決にならない
真面目な人ほど、説明しようとします。
誤解を解きたい。
分かってもらいたい。
そう思うのは自然なことです。
でも、その説明が新しい攻撃材料になることがあります。
詳しくは、モラハラ用語|JADE(ジェイド)とは?|あなたの説明は、相手の攻撃材料。でも解説しました。
また、質問を繰り返されるなら、モラハラ用語|シーライオニングとは?|質問で相手を追い詰める心理が起きているかもしれません。
本題がどんどん変わるなら、モラハラ用語|ディフレクションとは?|責任のかかる話から逃げる心理。
「その言い方」を責められるなら、モラハラ用語|トーンポリシングとは?|「その言い方」が論点になる理由。
最後に立場が逆転するなら、モラハラ用語|DARVOとは?|なぜ被害者と加害者が逆転してしまうのか。
一つだけではありません。
いくつもの心理操作が重なることで、話し合いは少しずつ消耗戦へ変わっていきます。
「もういいわ」と言ってしまうのは弱いからではない
多くの人は、最後にこう言います。
「もういいわ。」
「話し合いにならへん。」
そして、そのあと自分を責めます。
「最後まで話せへんかった。」
「私が諦めた。」
でも、本当にそうでしょうか。
何時間も話して。
何度も説明して。
何度も話を戻して。
それでも終わらない。
それは、あなたが諦めたのではありません。
諦めるしかない状況まで追い込まれたのです。
これは大きな違いです。
「私は弱かった。」ではありません。
「話し合いが成立しない状況だった。」
そう理解することが、自分を責める気持ちを少し軽くしてくれます。
知ることは、消耗戦から降りるためです
モラ晴らし屋では、たくさんの心理操作を紹介しています。
それは、相手を言い負かすためではありません。
心理操作を覚えて勝つためでもありません。
消耗戦から降りるためです。
「今、本題が変わった。」
「また質問攻めが始まった。」
「説明するほど苦しくなっている。」
そう気付けるようになるだけで、会話との向き合い方は変わります。
そして、もう一つ大切なことがあります。
あなたは、「話し合い」がしたかっただけです。
相手を責めたかったわけではありません。
勝ちたかったわけでもありません。
ただ、お互いに理解し合いたかった。
それだけです。
だから苦しかったのです。
知ることは、相手を変えるためではありません。
知ることは、自分を守るためです。
そして、終わりの見えない消耗戦に巻き込まれないためです。
もし今、「また話し合いが消耗戦になっている」と感じたら、一度立ち止まってください。
その会話は、本当に話し合いでしょうか。
それとも、あなたを疲れさせることが目的になっているのでしょうか。
その違いに気付くことが、自分を守る第一歩になります。



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