「明日の話なんやけど……」
返事がない。
聞いている様子もない。
「聞いてる? 明日の話なんやけど」
すると返ってきたのは、
「結論だけ話せ」
「いや、だから、子どもがな……保育園の先生が……私仕事で……」
「いや、結論だけ言えへんの? 色々言われても分からんねん」
「聞く気がないんやん?」
「もう黙れ。うるさい。」
――会話は、そこで終わってしまいました。
でも、話は終わっていません。
明日の子どもの予定は、まだ決めなければならない。
こんなとき、どうすればいいのでしょうか。
今回の「モラハラ対応分岐図」では、相手に「結論だけ言え」「もう黙れ」と言われ、必要な話まで聞いてもらえないときの対応を考えます。
目的は、相手を言い負かすことでも、何としてでも最後まで聞かせることでもありません。
話し合いが成立しない状況でも、生活に必要な連絡をどう成立させるか。
そこをゴールにします。
- まず、「結論から話してほしい」だけならモラハラとは限らない
- 問題は「話し方」より、必要な話そのものができなくなること
- 分岐①「だから最後まで聞いて!」と、その場で説明を続ける
- 分岐②「もうええわ」と、必要な話まで諦める
- 分岐③ 口頭で伝えるのをやめて、必要事項だけ別の方法で伝える
- LINEでは「説得」ではなく、必要事項だけを送る
- それでも返事がないときは?
- 「返事して」はお願い。「返事がなければ私はこうする」は境界線
- では、「結論だけ言え」と言われたら結論だけ言うべき?
- 見るべきなのは「どんな話し方なら怒られないか」だけではない
- 一度「黙れ」と言われただけで、モラハラとは決められない
- 「黙れ」と言われても、生活まで止めなくていい
- 今回の分岐図まとめ
まず、「結論から話してほしい」だけならモラハラとは限らない
最初に、ここは分けて考えておきたいところです。
「結論から話してほしい」
この言葉だけで、モラハラだと判断することはできません。
長い説明を聞きながら情報を整理するのが苦手な人もいれば、最初に結論を聞いた方が内容を理解しやすい人もいます。
夫婦でも、
「私は経緯から話したい」
「俺は先に結論を知りたい」
という違いはあり得ます。
そんなときに、
「先に結論を言ってくれる?」
と伝えること自体は、コミュニケーションの調整です。
では、何を見るのでしょうか。
大切なのは、「結論から話してほしい」と言ったことだけではなく、そのあと必要な話をすることができるかどうかです。
問題は「話し方」より、必要な話そのものができなくなること
今回の会話をもう一度見てみます。
妻には、明日の子どもの予定について伝えなければならないことがあります。
ところが、
無視される。
もう一度声をかける。
「結論だけ言え」と言われる。
事情を説明しようとすると、「色々言われても分からん」と遮られる。
そして最後には、
「もう黙れ。うるさい。」
必要な話そのものが止まってしまいました。
ここで考えたいのは、
「私はもっと上手に説明すればよかったのかな?」
だけではありません。
伝え方を工夫しても、相手が話を聞くこと自体を拒否しているなら、説明を増やすほど会話が成立するとは限らないからです。
分岐①「だから最後まで聞いて!」と、その場で説明を続ける
まず考えられるのが、その場で何とか最後まで伝えようとすることです。
「いや、だから最後まで聞いてって」
「明日のことやから、ちゃんと聞いて」
必要な話なのだから、そう言いたくなるのは自然です。
しかし相手がすでに「黙れ」「うるさい」と会話を拒否している状態では、
「黙れ言うとるやろ」
「しつこい」
「もう知らん」
など、さらに衝突が大きくなることがあります。
すると、こちらはますます説明しなければならなくなります。
でも説明すればするほど、
「話が長い」
「しつこい」
「うるさい」
と責められる。
そして気づけば、明日の予定ではなく、「あなたの話し方」が問題になっている。
こうなると、本題に戻るのがどんどん難しくなります。
説明・反論・弁明を重ねるほど会話から抜けにくくなる状態については、こちらでも詳しく解説しています。
モラハラ用語|JADEとは?|説明・反論・弁明を続けるほど抜けられなくなる理由
分岐②「もうええわ」と、必要な話まで諦める
もう一つは、
「もうええわ」
と全部を諦めるルートです。
これなら、その場の言い争いは終わるかもしれません。
相手の機嫌をこれ以上悪くしなくて済むかもしれません。
でも今回の場合、困ることがあります。
明日の予定が決まっていない。
夫婦には、話したくなくても連絡しなければならないことがあります。
子どもの送迎。
学校や保育園の予定。
仕事。
病院。
家のお金。
家族の予定。
「今は話し合いたくない」で延期できる話もあります。
でも、期限のある連絡はそうはいきません。
だから、ここで覚えておきたいことがあります。
「会話をやめること」と「必要な連絡まで諦めること」は、同じではありません。
分岐③ 口頭で伝えるのをやめて、必要事項だけ別の方法で伝える
そこで、もう一つのルートがあります。
相手が「黙れ」「うるさい」と言っている状態で、何とか口頭で聞かせようとするのをやめます。
たとえば、
「分かった。今はもう話さない。明日のことは必要な連絡だから、LINEで送るね。」
ここで一度、会話を終わらせます。
これは、相手の「黙れ」に従って、自分の意見を捨てるという意味ではありません。
口頭でのやり取りが成立しないなら、連絡方法を変える。
という選択です。
LINEでは「説得」ではなく、必要事項だけを送る
LINEに切り替えたあと、口頭で言えなかったことを全部長文で送り直す必要はありません。
今回なら、たとえばこうです。
明日の保育園のお迎えについて確認です。
私は仕事で17時まで迎えに行けません。
明日は迎えに行けますか?
今日21時までに返事をお願いします。
ポイントは、
何についての連絡か。
何を確認したいのか。
いつまでに返事が必要なのか。
を分けることです。
ここでは、「さっきなんで聞いてくれへんかったん?」という話まで一緒にしません。
必要な連絡と、夫婦間の問題をいったん分けます。
それでも返事がないときは?
ここが次の分岐です。
LINEを送った。
でも既読無視。
あるいは、返事がない。
そんなとき、
「見た?」
「返事して」
「明日のことやで?」
「なんで返事してくれへんの?」
と何度も追いかけ続けると、また同じやり取りに戻ることがあります。
そこで、返事がない場合の自分の行動まで決めておきます。
たとえば、
21時までに返事がなければ、明日は迎えに行けないものとして別の方法を考えます。
と伝えておく。
そして時間になったら、可能な範囲で自分が取れる方法へ移ります。
これは、相手を罰するためではありません。
相手が返事をするかどうかだけに、自分と子どもの予定を預けないためです。
「返事して」はお願い。「返事がなければ私はこうする」は境界線
ここには、境界線の考え方があります。
「ちゃんと話を聞いて」
「返事して」
これは相手へのお願いです。
もちろん、お願いすることが悪いわけではありません。
でも、相手がそれに応じるかどうかは、自分だけでは決められません。
一方で、
「返事がなければ、私はこうする」
は、自分が選べる行動です。
境界線は、相手を思い通りに動かすためのものではありません。
相手がどうするかとは別に、自分がどう行動するかを決めるものです。
境界線について最初から知りたい方はこちらも読んでみてください。
「伝える」だけでは状況が変わらないときの次の段階はこちらです。
「何度言ってもやめない」その次は?|境界線を“伝える”から“行動する”へ
では、「結論だけ言え」と言われたら結論だけ言うべき?
ここは少し難しいところです。
結論から話すことで会話が成立するなら、それを試してみるのも一つの方法です。
たとえば、
「明日、保育園のお迎え行ける?」
と先に聞いてから、必要に応じて理由を説明する。
これでお互いに話しやすくなるなら、単なるコミュニケーションの調整かもしれません。
でも、
結論から言っても聞かない。
質問しても無視する。
事情を説明すると怒る。
確認すると「しつこい」と言われる。
最後には「黙れ」「うるさい」で終わる。
そうであれば、問題は「結論から話していなかったこと」だけでは説明できません。
見るべきなのは「どんな話し方なら怒られないか」だけではない
必要な話をしようとするたびに、
「もっと短く言わなあかんのかな」
「タイミングが悪かったんかな」
「機嫌がいいときを待った方がいいかな」
「言葉を選ばなあかんのかな」
と考え続けていると、いつの間にか、こちらばかりが「怒らせない伝え方」を探すようになることがあります。
もちろん、伝え方を工夫することは大切です。
でも、それと同時に確認してほしいことがあります。
相手も、話を成立させるための工夫をしていますか?
「長いと分からなくなるから、最初に結論を教えて」
「今は聞けないから、30分後に話そう」
「LINEで送ってくれたら確認する」
こうした調整なら、二人で方法を探すことができます。
一方で、
無視する。
遮る。
怒る。
「黙れ」で終わらせる。
そして必要な話まで成立しない。
それが繰り返されているなら、「私の説明が下手だから」だけで考え続けなくてもいいのです。
一度「黙れ」と言われただけで、モラハラとは決められない
ここも大切です。
人は感情的になって、言ってはいけない言葉を口にしてしまうことがあります。
一度「黙れ」と言われたという事実だけで、その人をモラハラ加害者だと決めることはできません。
見るべきなのは、その後も含めた関係のパターンです。
あとで謝るのか。
必要だった話に戻れるのか。
次から話し方を二人で調整できるのか。
それとも、必要な話をしようとするたびに同じことが繰り返されるのか。
一つの言葉だけではなく、「そのあと何が起きるか」を見てください。
「黙れ」と言われても、生活まで止めなくていい
相手が話を聞いてくれない。
「結論だけ言え」と言われる。
説明しようとすると遮られる。
最後には「黙れ」「うるさい」。
そんな状況では、何とか分かってもらおうとしてしまうかもしれません。
でも、口頭での話し合いが成立しないなら、その場で勝負を続けなくてもいい。
会話はいったん終えていい。
そして、
必要な連絡は、別の方法で成立させればいい。
LINEにする。
必要事項だけにする。
期限を決める。
返事がなかった場合の自分の行動を決める。
「どうすれば、この人に最後まで聞いてもらえる?」
それだけを考え続けなくていいのです。
相手が聞かないときでも、私はどうすれば生活を止めずに済むか。
そこまで考えることも、自分を守る方法の一つです。
今回の分岐図まとめ
「明日の話なんやけど」
↓
「結論だけ言え」
↓
説明しようとする
↓
「もう黙れ。うるさい」
↓
A:その場で説明を続ける
→ 言い争いが大きくなることがある
→ 本題が消える
B:全部諦める
→ その場は終わる
→ でも必要な予定が決まらない
C:口頭での会話はいったん終了する
→ 必要事項をLINEなどで送る
→ 返事が必要なら期限を伝える
→ 返事がない場合の自分の行動を決める
今回のゴールは、相手を言い負かすことではありません。
「話し合えないから、何も決められない」状態から抜けること。
そして覚えておいてほしいのは、これです。
「話すのをやめる」と「必要な連絡まで諦める」は、別です。



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