- 実践編|境界線って、実際どう伝えればいい?
- まず覚えておきたい|境界線は「相手を動かす言葉」ではない
- 基本は短くていい|「私は○○します」
- 実践①|頼みごとを断りたい時
- 実践②|今は話したくない時
- 実践③|嫌な言い方をされた時
- 実践④|自分のことを勝手に決められそうな時
- 「なんで?」と聞かれたら、全部説明しないとダメ?
- 説明・弁明・正当化を繰り返していない?
- 前編まとめ|境界線は「うまく言うこと」より「自分の答えを知ること」
- 境界線を伝えた。そのあと、どうすればいい?
- 実践⑤|同じことを何度も聞かれた時
- 実践⑥|相手が怒った時
- 実践⑦|「冷たい」「わがまま」と言われた時
- 実践⑧|罪悪感が出てきた時
- 境界線は「伝えたら終わり」ではない
- 「相手が守ってくれないから境界線を引けない」は少し違う
- 具体例|お願いと境界線はどう違う?
- 境界線は「脅し」とも違う
- 全部いっぺんにできなくていい
- 実践!境界線の伝え方|大切なのは「相手を納得させること」ではない
- 関連記事|境界線を実践したい方へ
実践編|境界線って、実際どう伝えればいい?
ここまで境界線について読んできて、
「境界線が大切なのは分かった。」
「我慢し続けなくてもいいのも分かった。」
でも、いざ実際にやろうとすると、
「……で、なんて言えばいいん?」
となることがあります。
「嫌です。」
だけでは冷たい気がする。
「できません。」
と言ったら怒られそう。
理由をちゃんと説明しないと、納得してもらえない気がする。
そう考えているうちに、結局また、
「まあ、いいよ。」
と言ってしまう。
今回は、そんな人のための境界線の実践編です。
難しい言葉ではなく、実際の生活でどう伝えればいいのか。
具体的な言い方を使いながら見ていきます。
まず覚えておきたい|境界線は「相手を動かす言葉」ではない
境界線というと、
「○○しないで。」
「○○して。」
と相手に要求することだと思うかもしれません。
もちろん、自分の希望を伝えることは大切です。
でも、境界線にはもう一つ大事な視点があります。
「相手がどうするか」ではなく、「私はどうするか」。
です。
例えば、
「怒鳴らないで。」
これは相手へのお願いです。
でも、怒鳴るかどうかを最終的に決めるのは相手です。
そこで境界線では、
「怒鳴られている間は、私は話を続けない。」
と考えます。
これなら、自分で選べます。
相手をコントロールするのではなく、自分がどう行動するのかを決める。
ここが境界線を実践する時の大きなポイントです。
境界線そのものについては、境界線を引こう。|合わない人から、あなたを守る「心の線」でも詳しく解説しています。
基本は短くていい|「私は○○します」
境界線を伝える時、長い説明は必ずしも必要ありません。
例えば、
「今日は行かない。」
「今日はできない。」
「今は話さない。」
「それは私はしない。」
「その話には答えない。」
「それは自分で決めるね。」
これでも境界線になります。
ポイントは、
「あなたが○○しなさい。」
ではなく、
「私は○○する/しない。」
と、自分を主語にすること。
境界線は、相手への命令ではありません。
自分がどこまでなら受け入れられるのかを示す言葉です。
実践①|頼みごとを断りたい時
例えば、何かを頼まれた。
でも今日は疲れている。
本当はやりたくない。
そんな時、
「ごめん、今日はちょっと疲れてて、昨日もあんまり寝てなくて、明日も朝早いし……。」
と、理由をたくさん並べたくなることがあります。
でも、もっと短くても構いません。
「今日はできないよ。」
これでいい。
少し柔らかくしたいなら、
「ごめん、今日はできない。」
でもいい。
大切なのは、理由の量ではありません。
自分の答えがYESなのかNOなのか。
そこを自分で分かっていることです。
実践②|今は話したくない時
喧嘩になっている。
相手は今すぐ話し合いたい。
でも、自分はもう疲れている。
頭も回らない。
そんな時は、
「今は話せない。落ち着いてから話す。」
でもいい。
それでも相手が、
「逃げるん?」
「今話せや。」
「なんで話されへんの?」
と追いかけてくることがあります。
そこで、また一から説明し直さなくてもいいのです。
「今は話さない。」
と、同じ境界線を繰り返しても構いません。
相手から質問されたからといって、境界線を解除しなければならないわけではありません。
実践③|嫌な言い方をされた時
皮肉。
嫌味。
馬鹿にするような言い方。
怒鳴る。
そんな話し方をされた時、
「そんな言い方やめて。」
と伝えることもできます。
でも、それでも続くなら、
「その言い方をされている間は、この話は続けない。」
と、自分の行動まで決めます。
そして本当に会話を止める。
別の部屋へ行く。
電話なら切る。
返信を止める。
境界線は、言葉だけで完成するものではありません。
「越えられた時に、自分はどうするのか」まで含めて境界線です。
何度伝えても境界線を越えてくる人については、境界線を越えてくる人の特徴|何度「嫌」と言ってもやめてくれないのはなぜ?でも詳しく解説しています。
実践④|自分のことを勝手に決められそうな時
「これにしといたから。」
「この日空けといて。」
「お前も来るやろ。」
自分の予定や、自分に関することを勝手に決められる。
そんな時も境界線を使えます。
「私の予定は、私に確認してから決めて。」
あるいは、
「その日はまだ行くって決めてないよ。」
「それは自分で決めるね。」
でもいい。
相手と相談することと、自分の決定権を全部渡すことは同じではありません。
自分の時間、自分の身体、自分の予定、自分の選択。
そこには、自分で決めていい領域があります。
「なんで?」と聞かれたら、全部説明しないとダメ?
ここで難しくなる人が多いです。
「今日は行かない。」
と言った。
すると、
「なんで?」
と聞かれる。
そこで理由を説明する。
すると、
「それくらい大丈夫やろ。」
と言われる。
さらに説明する。
「でも○○やから……。」
するとまた、
「じゃあ○○したらええやん。」
と返ってくる。
気づけば、
「行かない」という自分の決定について、相手から許可をもらうための話
になっています。
もちろん、普通の関係なら理由を説明して話し合うこともあります。
でも、説明するたびに反論され、説明するたびに追い込まれていくなら、
「もう理由は伝えたよ。今日は行かない。」
と終わらせてもいいのです。
説明・弁明・正当化を繰り返していない?
「私が悪いと思われたくない。」
「ちゃんと分かってほしい。」
そう思うほど、説明は長くなります。
でも、相手があなたの説明を理解するためではなく、反論する材料として使ってくる場合があります。
説明する。
反論される。
弁明する。
また反論される。
さらに自分を正当化する。
この状態に入ると、境界線そのものがどんどん見えなくなります。
こうした「説明し続けることで相手との議論から抜けられなくなる状態」は、モラハラ用語|JADE(ジェイド)とは?|あなたの説明は、相手の攻撃材料。でも詳しく解説しています。
境界線は、裁判のように証拠を並べて認めてもらうものではありません。
あなたが嫌だと感じたこと。
あなたができないこと。
あなたが選ばないこと。
それを伝えるだけでもいいのです。
前編まとめ|境界線は「うまく言うこと」より「自分の答えを知ること」
境界線を伝える時、完璧な言葉を探したくなります。
相手が怒らない言葉。
嫌われない言葉。
絶対に納得してもらえる言葉。
でも、そんな言葉がいつも見つかるとは限りません。
それより先に大切なのは、
「私は本当はどうしたい?」
を自分で知ることです。
今日は行きたくない。
それはされたくない。
今は話したくない。
そこまではできない。
まず、自分の答えを自分が認める。
そして必要なら、短く言葉にする。
「私は、こうします。」
それが境界線を伝える最初の一歩です。
後編では、
「何度もしつこく聞かれたら?」
「怒られたら?」
「罪悪感を持たされたら?」
「境界線を伝えても無視されたら?」
という、境界線を伝えた“その後”の対応を具体例と一緒に見ていきます。
境界線を伝えた。そのあと、どうすればいい?
境界線を伝えることができた。
「今日はできない。」
「今は話さない。」
「それは嫌です。」
ここまで言えたら、それで全部終わる。
そうなら一番楽です。
でも現実には、境界線を伝えたあとに難しくなることがあります。
「なんで?」
「それくらいできるやろ。」
「前はしてくれたやん。」
「冷たくなったな。」
と返される。
そして、こちらが折れるまで話が続く。
だから境界線の実践で大切なのは、最初の一言だけではありません。
境界線を示したあと、自分の線をどう守るか。
後編では、そこを具体的に見ていきます。
実践⑤|同じことを何度も聞かれた時
「今日は行かない。」
と伝えた。
すると、
「なんで?」
と聞かれる。
理由を伝えた。
それでも、
「でも行けるやろ?」
と言われる。
さらに、
「何がそんなに嫌なん?」
「ほんまに行かへんの?」
「俺がお願いしても無理なん?」
と続く。
こうなると、こちらは毎回新しい答えを出さなければならないような気がしてきます。
でも、答えが変わっていないなら、言葉を増やす必要はありません。
「さっき言った通り、今日は行かないよ。」
これでいいのです。
同じ質問をされたからといって、同じ境界線を何度も作り直す必要はありません。
答えがNOなら、NOのままでいい。
実践⑥|相手が怒った時
境界線を伝えた。
すると相手が怒った。
ここで、すぐに境界線を撤回したくなります。
「ごめん。」
「やっぱりいいよ。」
「私がやるから。」
そう言えば、相手の機嫌が戻るかもしれません。
でも、そこで一度考えてみてください。
相手が怒ったことと、あなたの境界線が間違っていたことは別です。
あなたが相手を侮辱したわけでもなく、ただ、
「できない。」
「嫌です。」
と伝えただけなら、相手の怒りを見た瞬間にNOを消さなくてもいいのです。
例えば、
「怒っているのは分かった。でも今日はできないよ。」
と伝えてもいい。
相手の感情を認めることと、相手の要求を受け入れることは別です。
境界線を引いた途端に怒ったり不機嫌になったりする人については、境界線を引くと怒る人|あなたが「嫌」と言った途端、不機嫌になる理由でも詳しく解説しています。
実践⑦|「冷たい」「わがまま」と言われた時
境界線を伝えると、内容ではなく人格を責められることがあります。
「冷たいな。」
「自分勝手やな。」
「前はそんな人じゃなかった。」
「最近わがままになったな。」
こう言われると、自分が悪い人になったような気持ちになります。
そして、境界線そのものではなく、
「私は冷たい人じゃない。」
という証明を始めてしまう。
でも、ここでも本題を思い出してください。
話していたのは、
「あなたがどんな人間か」ではなく、「今回は何をするか・しないか」
です。
「そう思うんやね。でも今日はできない。」
「わがままに見えるかもしれないけど、今回はしないよ。」
それくらいで終えても構いません。
人格への評価に、一つひとつ反論する必要はありません。
実践⑧|罪悪感が出てきた時
境界線を伝えたあと、一人になってから苦しくなることがあります。
「やっぱりしてあげればよかったかな。」
「傷つけたかな。」
「私が悪かったかな。」
そんな罪悪感が出てきます。
その時は、すぐに境界線を撤回する前に、自分に聞いてみてください。
「私は本当に悪いことをした?」
相手をわざと傷つけたのでしょうか。
それとも、ただ、
「今日はできない。」
と伝えただけでしょうか。
罪悪感を感じていることと、実際に悪いことをしたことは同じではありません。
境界線を引いたあとに罪悪感が出る理由については、境界線を引くと罪悪感が出るのはなぜ?|「私が悪いのかな」と思ってしまうあなたへでも詳しく解説しています。
境界線は「伝えたら終わり」ではない
ここが実践編で一番大切なところです。
境界線は、
「嫌です。」
と言えば完成するとは限りません。
例えば、
「怒鳴られている間は話をしない。」
と決めた。
それでも相手が怒鳴り続ける。
その時は、実際に会話を終える。
別室へ移動する。
電話なら切る。
「連絡は夜9時以降は返さない。」
と決めたなら、夜中に連絡が来ても翌日に返す。
「その話題には答えない。」
と決めたなら、質問され続けても答えない。
境界線は、言葉と行動がつながった時に守りやすくなります。
「相手が守ってくれないから境界線を引けない」は少し違う
境界線を引くと、相手が守ってくれないことがあります。
そこで、
「この人には境界線が通じない。」
と思います。
確かに、こちらのNOを尊重しない人はいます。
でも、ここで境界線の意味をもう一度思い出してください。
境界線は、
「相手が絶対にここを越えないようにする魔法の線」
ではありません。
越えてきた時、自分がどうするのかを決める線でもあります。
だから、
「この人がやめてくれない。」
だけで終わらず、
「この人がやめないなら、私はどうする?」
まで考えます。
何度伝えても境界線を越えてくる人については、境界線を越えてくる人の特徴|何度「嫌」と言ってもやめてくれないのはなぜ?も参考にしてください。
具体例|お願いと境界線はどう違う?
例えば、相手が怒鳴る場合。
お願い:
「怒鳴らないでほしい。」
境界線:
「怒鳴られている間は、私は話を続けない。」
例えば、夜中に何度も電話が来る場合。
お願い:
「夜中は電話しないで。」
境界線:
「夜10時以降の電話には出ない。」
例えば、予定を勝手に決められる場合。
お願い:
「勝手に予定を決めないで。」
境界線:
「私に確認せず決められた予定には参加しない。」
お願いが悪いわけではありません。
むしろ、最初はお願いで十分な関係もたくさんあります。
でも、お願いを何度伝えても繰り返されるなら、
「相手に何をしてほしいか」だけでなく、「私はどうするか」まで考える。
これが境界線を実践する大きなポイントです。
境界線は「脅し」とも違う
「次やったら絶対許さんからな。」
「そんなことしたら全部終わりやで。」
こうした言葉と境界線は同じではありません。
境界線は、相手を怖がらせて従わせるためのものではないからです。
例えば、
「また怒鳴ったら痛い目見るで。」
ではなく、
「怒鳴られたら、私はその場から離れる。」
自分の行動を決める。
ここに戻ります。
境界線の中心は、相手を支配することではなく、自分を守ることです。
全部いっぺんにできなくていい
ここまで読むと、
「こんなん全部できるかな。」
と思うかもしれません。
もちろん、最初から全部できなくても大丈夫です。
今まで「いいよ」と即答していたところを、
「ちょっと考える。」
に変える。
今まで十個理由を説明していたところを、
「今日はできない。」
だけにしてみる。
今まで相手が怒った瞬間に撤回していたところを、少しだけ時間を置いてみる。
そういう小さな練習からでも構いません。
境界線を引くのが怖い人は、境界線を引くのが怖いのはなぜ?|嫌われる・関係が壊れると感じてしまう理由も読んでみてください。
実践!境界線の伝え方|大切なのは「相手を納得させること」ではない
境界線を上手に伝えようとすると、
相手を怒らせない言葉。
相手が納得する理由。
嫌われない断り方。
を探したくなります。
でも、本当に大切なのは、そこだけではありません。
自分が何を嫌だと思っているのか。
何ならできるのか。
どこから先はできないのか。
まず、自分が知ること。
そして、必要なら短く伝えること。
「今日はできない。」
「今は話さない。」
「それは嫌です。」
「その状態なら私は離れます。」
これでいいのです。
相手が納得するかどうかまで、あなたが完全にコントロールすることはできません。
境界線は、相手を変えるためではなく、自分を見失わないためにあります。
完璧に言えなくてもいい。
途中で揺れてもいい。
まずは、小さな一言から始めてみてください。
「私は、こうしたい。」
「私は、これはしない。」
その言葉が、自分の領域を自分に戻す一歩になります。



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