「怒鳴るの、やめてほしい」
ただ、それを伝えたかっただけ。
ところが返ってきたのは、
「は?お前の方がモラハラやろ」
という言葉。
そう言われた瞬間、頭の中にいろいろなことが浮かびます。
「え?私が?」
「どこが?」
「私、そんなことした?」
「もしかして、本当に私の方がおかしい?」
そして気づけば、
相手の行動について話していたはずなのに、自分の行動を説明する側になっている。
こんな会話になることがあります。
では、「お前の方がモラハラや」と言われたとき、どう対応すればいいのでしょうか。
今回も、いくつかの返し方から、その後の会話がどう進みやすいのかを「モラハラ対応分岐図」として考えてみます。
なお、このシリーズの目的は、相手を言い負かすことではありません。
自分が今どんな会話のルートに入っているのかに気づき、本題を守り、必要なら会話から降りる。
そのための分岐図です。
「お前の方がモラハラや」と言われた。あなたならどう返す?
たとえば、こんな場面です。
あなた:
「怒鳴るのやめてほしい。普通に話してほしい」
相手:
「は?お前の方がモラハラやろ」
さて。
ここで、あなたならどう返しますか。
A|「私のどこがモラハラなん?」
B|「私も悪いところあったかもしれん。ごめん」
C|「私のことは別で話そう。今は怒鳴るのをやめてほしいって話をしてる」
どれも、その場では口から出てもおかしくない言葉です。
では、それぞれの先を見てみましょう。
Aルート|「私のどこがモラハラなん?」と聞く
あなた:
「私のどこがモラハラなん?」
すると、相手からこんな言葉が返ってくることがあります。
相手:
「いっつも細かいこと言うてくるやん」
あなた:
「それは何回言ってもやってくれへんからやん」
相手:
「ほら。そうやって全部俺が悪いみたいに言うやろ」
あなた:
「いや、今はそういう話ちゃうやん」
相手:
「都合悪なったら『今は違う』って逃げるんか?」
……こうなると、次は、
「あのときはこうだった」
「でもそれは○○だったから」
「お前も前に○○した」
「それとこれは違う」
と、一つずつ説明したくなります。
気づけば、自分の弁護が始まっている
でも、最初の話題を思い出してみてください。
「怒鳴るのをやめてほしい」
という話でした。
ところが今は、
「私はモラハラなのか?」
を証明する会話になっています。
もちろん、相手から自分の問題を指摘されたなら、その内容を振り返ること自体は大切です。
でも、それを今この瞬間に、元の問題と混ぜて話す必要があるとは限りません。
一つ一つ反論し、説明し、正当化し続けることで会話から抜けられなくなっている場合は、モラハラ用語|JADEとは?|説明・反論・弁明を続けるほど抜けられなくなる理由も参考にしてください。
Bルート|「私も悪かったかもしれない」と謝る
あなた:
「私も悪いところあったかもしれん。ごめん」
自分にも悪いところがあるかもしれない。
そう考えられること自体は、悪いことではありません。
実際、自分にも直した方がいい部分があることはあります。
ただ、その直後に、
相手:
「ほら。自分でも分かっとるやん」
と言われて、そのまま話が終わったらどうでしょう。
最初に伝えたかった、
「怒鳴るのをやめてほしい」
という話は、また残ったままです。
自分に問題があっても、相手の問題が消えるわけではない
ここは、この分岐図で特に大切なところです。
仮に、あなたにも直した方がいい行動があったとします。
それでも、
「あなたにも問題がある」ことと、「相手が怒鳴った」ことは別の問題です。
二つは同時に存在できます。
「私のあの言い方は悪かった。そこは謝る」
そして同時に、
「でも、怒鳴られるのは嫌だ」
と言ってもいい。
自分の非を認めることは、相手の行動まで正当化することではありません。
Cルート|「私のことは別で話そう」と本題を分ける
あなた:
「私のことは別で話そう。今は怒鳴るのをやめてほしいって話をしてる」
ここで相手が、
「分かった。怒鳴ったことについては悪かった」
などと本題に戻れるなら、その話を続ければいいでしょう。
そして、その話が終わったあとで、
「さっき俺のことばっかり言うって話が出たけど、それはどういうこと?」
と、相手側の問題について別に話すこともできます。
どちらか一方しか話してはいけないわけではありません。
大切なのは、二つの問題を混ぜないことです。
それでも「お前もやろ」が続いたら?
本題に戻そうとしても、
「いや、お前も怒鳴るやろ」
「お前の方がひどいやん」
「自分のこと棚に上げんなよ」
「お前が先にやったんやろ」
と続くことがあります。
そんなとき、すべてに反論する必要はありません。
もう一度だけ、
「私のことは別で聞くよ。でも今は、この話をしてる」
と本題を確認する。
それでも戻れないなら、
「今はこの話できそうにないから、もうやめとくわ」
と、会話を終えることもできます。
これは逃げではありません。
相手を罰するための無視でもありません。
本題について話し合えない状態の会話に、これ以上参加しないという選択です。
境界線については、境界線を引こう。|合わない人から、あなたを守る「心の線」でも詳しく解説しています。
「お前の方がモラハラ」はDARVOなの?
「こちらが問題を指摘したら、逆にこちらが加害者扱いされた」
この流れを見て、DARVOという言葉を思い浮かべる人もいるかもしれません。
DARVOとは、問題を指摘された側が、否定・攻撃を経て、被害者と加害者の立場を逆転させるような反応パターンを指す言葉です。
詳しくは、モラハラ用語|DARVOとは?|なぜ被害者と加害者が逆転してしまうのかで解説しています。
ただし、
「お前の方がモラハラ」と言われた=必ずDARVO
という意味ではありません。
相手が本当に傷ついていることや、あなたに改善してほしいことを伝えている可能性もあります。
だからこそ見るのは、言葉一つではなく、その後どうなるかです。
相手は、自分への指摘についても話せるでしょうか。
あなたの問題についても、別の話として具体的に話せるでしょうか。
それとも、あなたが何かを指摘するたびに、
「お前の方が悪い」
となり、毎回あなたの反省会だけが始まるでしょうか。
一言より、繰り返される会話の構造を見る。
そこが大切です。
「私も悪い」は、本題を消す言葉にしなくていい
モラハラについて考えていると、
「でも、私も言い返したことあるし……」
「私も怒鳴ったことあるし……」
「私だって完璧じゃないし……」
と思うことがあります。
もちろん、自分の行動を振り返ることは大切です。
でも、
自分にも反省点があることと、相手からされたことについて「嫌だった」と言うことは両立します。
完璧な人だけが、境界線を引けるわけではありません。
「私はここを直す」
と、
「あなたにはこれをやめてほしい」
は、別々に考えていいんです。
対応分岐図|「お前の方がモラハラや」と言われたら
「お前の方がモラハラやろ」
↓
A|「どこがモラハラなん?」
↓
過去の出来事が次々出てくる
↓
一つずつ説明・反論する
↓
自分の弁護ループへ
↓
最初の本題が消えていないか確認する
B|「私も悪かったかもしれない」
↓
自分の反省点を認める
↓
そのまま「あなたが悪い」で終了?
↓
自分の反省と、相手への指摘を分ける
C|「私のことは別で話そう。今は○○の話をしてる」
↓
本題に戻れる?
YES
↓
今の問題について話す
↓
必要なら、その後で相手からの指摘も別に話す
NO
↓
もう一度だけ本題を確認する
↓
それでも「お前も」「お前の方が」が続く
↓
「今は話せそうにないから、もうやめとくわ」
↓
会話から降りる
第1弾|「は?喧嘩売っとんか?」と言われたときは?
同じように、話し合おうとしたときに、
「は?喧嘩売っとんか?」
と威圧されて、本題より「あなたの言い方」の話になってしまうケースもあります。
こちらは、「は?喧嘩売っとんか?」と言われたら?|モラハラ対応分岐図で、返し方ごとの会話の行き先を紹介しています。
最後に|「どっちがモラハラか」を決めるゲームから降りる
「お前の方がモラハラや」
そう言われたら、
「違う。そっちや」
と言い返したくなるかもしれません。
でも、そこで、
「どっちがモラハラなのか」
を決める戦いが始まると、本来話したかった問題はますます遠くなります。
大切なのは、モラハラという言葉を取り合うことではありません。
今、何について話していたのか。
そこへ一度戻ってみる。
「私についての話も聞く。でも、それは別で話そう」
それでも本題に戻れないなら、会話を終える。
相手を納得させるまで説明し続けなくてもいい。
「私にも問題があるかもしれない」と考えられることと、自分の境界線を守ることは両立します。
どちらが100%正しいかを決めなくても、
「私はこの話し方には参加しない」
という選択はできます。



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